店舗内装の新たな発表

「ダイバーシティ・マネージメント」、「自社型ポートフオリォ」、「女性と外国人の活用」といった聞こえのよい言葉が並ぶ。 経団連はこれらを何によって実現しようとしているのか。
その最大の仕掛けこそ「日本型ワークシェアリング」(ニセ・ワークシェアリング)にほかならない。 その最大の特徴は、正規雇用に代えて非正規雇用を増やすこと、これにより人件費をゴッソリ減らすこと、である。
たしかに日経連の「労問研報告」(99年版)がいうように、正社員をパートタイマーに代え「一人分の賃金を2人の雇用者で分け合う」ことで「雇用は増える」。 しかし、このような「雇用増」を労働者は歓迎しない。
また、本当の「雇用増」とはみなさない。 これはニセ・ワークシェアリングである。
なぜか。 欧米との対比でハツキリする。
第一に、「土俵」がまったく違う。 あちらは一国、つまり国規模である。
労働時間法制の改正で時短を実現し、これで仕事を分かち合って雇用をふやす。 あるいは全国規模の労働協約で時短を実現し雇用をふやす。
全国規模の「土俵」なのだ。 「日本型」はどうか。

企業規模である。 だから、そういう「ワークシェアリング」の主張者の頭には労基法改正など思い浮かばない。
第2に、あちらでは賃下げをワークシェアリングの前提としない。 労使の力関係で賃下げになることはあるが、「前提」ではない。
「日本型」では賃下げが大前提である。 財界・企業は断じて、賃下げ・人件費削減につながらないワークシェアリングを導入しない。
ねらいが「賃下げ・人件費削減」なので、こうならざるをえない。 要するに、日本財界が以前から追求してきた「雇用形態の多様化」(正しくは雇用形態差別)策に、近年の急激な失業増を背景として利用しながら、「ワークシェアリング」という舶来の洋服を着せた、ということだ。
だから脱がすと、「雇用破壊による人件費削減」という裸体が丸出しになる。 週刊誌に載せてほしいのは、この種の「裸体」である。
第2に、「報告」のいう「人件費効率化へのアプローチ」とは、人件費を可能なかぎり削減すること、これに尽きる。 それを賃金と一雇用の両面からセットで追求すべし、というものである。
つまり、「企業経営にとって最大のコストは人件費であり、これは雇用と密接に結びついている。 賃金と雇用は表裏一体の関係にあり、雇用問題と賃金問題はいわばセットで対処が講じられなければならないし、同時に生産性向上、効率向上の視点が不可欠である」という。
また、「個別企業においては、自社の名目付加価値生産性に即して総人件費決定をおこなうという「支払能力の考え方」を徹底すべきである」とも強調している。 さらに、「企業の総人件費は、「賃金」「雇用」「労働時間」が要素であって、人件費効率化のアプローチはこの3つの要素を対象に取り組むべき」だとしている。

以上のように「報告」は、賃金決定の基準として「支払能力」を強調し、いま多くの企業の「支払能力」は払底しているので、賃下げを迫られることになろう、という。 これは「賃下げ春闘」到来を印象づけようとするだけでなく、暖昧で根拠のない「支払能力」論をテコに賃下げをおしつけるものだ。
「支払能力」とは「中長期的な観点から計画的な支払能力」なのだから、いま「支払能力あり」の企業でも「中長期的な観点」からは「支払能力なし」と言い逃れできるのである。 デフレ・スパイラルが危倶される状況下での合理的賃金決定のあり方が問われているが、企業の競争力の維持・強化のためには、名目賃金水準のこれ以上の引き上げは困難であり、ベースアップは論外である。
さらに賃金制度の改革による定期昇給の凍結・見直しも労使の話し合いの対象になりうる。 加減な賃金決定の「基準」が「支払能力」なのだ。
だまされてはならぬ。 最後に、「産業別最低賃金の廃止」を「報告」が主張していることも看過できない。
労組が賃上げ要求を掲げて、実力行使を背景に、社会的横断化を意図して「闘う」という「春闘」は、大勢においては終馬した。 労使の関心事項は賃金水準や賃金の引き上げ幅の如何ではなく、多様な雇用形態の適切な組み合わせの実現をめざして、付加価値の高い働き方を引き出す賃金・人事制度の構築に焦点が置かれている。
今日の春季交渉は、経営環境の変化を踏まえて、いかなる賃金水準、賃金制度が自社にとって大切か、また、年金など社会保障制度のあり方も含めて話し合う場として、いわば闘う「春闘」ではなく、討論し検討する「春討」としての色彩が強まるであろう。 日本の名目賃金はすでに世界の「トップ・レベル」であることにくわえて、デフレで物価が下落しているのだから、賃上げは論外で、定期昇給も「凍結・見直し」の必要がある、と「報告」はいう。
そうしなければ「国際競争力」が「劣化」するぞ、と例の主張がここでも繰り返されている。 そして、「今次労使交渉の課題は、引き続き雇用の確保を最重点に、企業の生き残りを可能にする人件費の効率化、生産効率の向上を労使で徹底的に論議することである」という。

すでに連合も「経営環境がきびしいなかで企業の雇用維持・確保努力には困難があり、一雇用に関するコスト削減が重要である」という見解だとして、一部労働組合も経団連と同意見であることを誇示している。 その内容は、雇用を守るため賃下げは甘受すべし、というものだ。
中小企業ではそれもやむなしという場面がありうるとしても問題は、そういいながら雇用も賃金も破壊するという「同時破壊」がたくらまれているところにある。 「たくらむ」だけでなく、すでにそれが横行しているではないか。
たとえばNでは、2万人リストラと同時に50歳以上の労働者に賃金3割削減の子会社に移ることを迫り、拒否すれば親を介護する労働者まで北海道から首都圏へ飛ばすという「見せしめ配転」をおこなっているのだ。 許せない。
全身で怒りを覚えるではないか。 つづけて「報告」は、「これからの労使関係」・春闘に向けての「願望」を披渥している。
「大勢において、労組が賃上げ要求を掲げ、実力行使を背景に社会的横断化を意図して「闘う」という「春にもかかわらず、賃上げは野外だと−して、交渉の焦点は「人事・賃金制度の構築」だという。 しかも、「労働条件の交渉から労使協議に軸を移した新しい春季交渉のスタイルを労使で構築していく努力が求められる。
これからは、闘う「春闘」ではなく、討論し検討する「春討」としての色彩が強まる」というのだ。 この「春討」を「財界の宣伝の場」として利用したいという魂胆が、すけて見える。
「報告」は結局、「労使の関心事項は、賃金水準や賃金の引き上げ幅のいかんでなく、多様な雇用形態の適切な組み合わせの実現をめざして付加価値の高い働き方を引き出す人事・賃金制度の構築に焦点がおかれている」としている。 ここで「労使の関心事」の「使」はともかく「労」の多くは賃上げを切実に必要としている。
生活実態の一例を示す。 「生鮮食料の割引がある夕方、スーパーヘ行く」、「娘の服はお下がりを頂くか、フリーマーケットを活用する」(A新聞の「声」欄から。

2002年8闘」は終篇した」という。

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