メラニンは表皮の基底層で注入されますから、ターンーオーバー・サイクルに従って、皮膚の表面に押し出されて剥がれていきます。
「メラユンを含んだ角質が剥がれ落ちる」というのは、このことを指しています。
最初からメラユンが、角質のなかでつくられているわけではありません。
できたてのメラユンは単量体と呼ばれ、黒くありません。
メラニンは黒いだけではなく、何種類か色があるのです。
メラニンとタンパク質が組み合わさると、もっとたくさんの色が生まれます。
人間の髪の毛や瞳の色が様々なのは、そういう理由からです。
皮膚のなかのメラニンも最初はほとんど色がないものが、たくさん寄り集まったり、タンパク質と結合したりすることで色が濃くなります。
久しぶりに海に行ったらその晩にはもう肌が真っ黒になっていた、という人が時々いますが、メラユンはそう急には生産されません。
このようなことが起きる人は、色が薄いメラニンが皮膚のなかにたくさんあって、紫外線などによって急にほかのものと結合して、色の濃いメラニンへと変化してしまったのです。
いずれにしても何もなければメラニンは自然に表面へと押し出されて、角質と共に皮膚から剥がれていく運命にあります。
ただ困ったことにメラニンのなかには、表皮からこぼれ落ちて真皮に入ってしまうものもあるのです。
色素細胞の「樹状突起」から排出されたメラニン類粒が、周囲の表皮細胞にきちんと注入されず、細胞と細胞のすきまにメラニンが落ちてしまうパターンです。 表皮のすきまにあるものは色素沈着=シミ、真皮にまで落ちてしまったものは母斑=アザ、と考えると分かりやすいでしょう。
色素沈着のもとは細胞の外にあるのですから、細胞を剥がすだけでは取り除けないのです。
メラニンの固まりを押し出す強い力、ターンーオーバーの回復が必要になります。
シミが取れない原因として、もう一つ考えられるのは、メラニン色素を出す色素細胞が暴走して、皮膚の炎症とは関係なくメラニン色素をつくり続けてしまう例です。
つまり、新陳代謝の低下とメラニンの過剰な生産が沈着の原因なのです。
日焼け止めなどで肌の炎症を防ぐ、という予防的な手段がまず一つあります。
ただ、その日焼け止めの選択と、使用法にもまた注意が必要です。
たとえば、最近の日焼け防止剤のなかには、紫外線吸収剤が入っているものがあります。
「それさえあれば、日焼け止めのなかに紫外線が吸収されてなくなるから、メラニン奇つくらないですむ」と思う人もいるかもしれませんが、くせものです。
紫外線とはエネルギーなので、肌の上に塗られた吸収剤によって消えてしまうことはありません。
日焼け止めは紫外線を吸収すると、その于不ルギーを含んだまま肌の上にずっと留まります。
ですから、本当に日焼けをしたくない方は、ただ日焼け止めを塗るだけではなく、紫外線を含んでしまったその日焼け止めローションなりクリームなりを、三〇分から一時間おきに洗い流さなければいけないと思います。 日焼け止めが、メラニンと同じように紫外線を吸収できるなんて、あり得ないのです。
メラニンに関する常識をもっていないと、他の化粧品と同じく、美白剤や日焼け止めについても、選択を間違える危険性もあります。
次の段階として考えられるのは、メラニンをつくるように指令を出す炎症メディエーターをストップさせること、メディエーターの指令を受けてしまった色素細胞のなかで、チロシナーゼがメラニンをつくるのを防ぐことです。
今、美白剤の成分としてポピュラーになりつつある「アルブチン」という成分は、色素細胞を殺してしまうものなので、この段階でメラニンにストップをかけます。
逆にいうと、もうできてしまったメラニンには対処のしょうないわけです。
メラユンは多く寄り集まり、日光に当てられて酸化すると黒くなりますが、化粧品成分で防ぐ要素があるのはビタミンCです。
そうすると、真皮にこぼれ落ちてしまったメラニンだけは、もうどうしようもないのでしょうか? そうではありません。
先ほど、メラユンの沈着の原因は、新陳代謝=古くなってダメになった組織を排泄する力の低下と、メラニンをつくろうとする器官の暴走による過剰な生産が原因だといいました。
プラセンタには、そのどちらにも対応できる能力があります。
それだけではなく、プラセンタは今挙げた、メラニンがつくられるあらゆる段階に対応できるのです。
現在、化粧品業界の美白分野でプラセンタは大変な注目を集めています。
プラセンタが使用されていることを前面に押し出して広告される美白剤も、最近は増えてきました。プラセンタが入っている、ということが大きく扱われていない美白剤にも、だいたいにおいてプラセンタが配合されています。
というより、現在プラセンタが入っていない美白剤があるとしたら、ほとんど効果が期待できないものだ、といっていいと思います。
「化粧品全成分表示」が実施される二〇〇一年春になれば、もっと明らかなことになるはずです。
多くの化粧品メーカーから出ている美白剤のボトルに「プラセンタ」と表示されているはずですから。
プラセンタにはまず、肌の炎症を鎮める効果があります。
炎症が鎮まれば、肌はメラニンをつくらなくてすむわけです。
炎症メディエーターを抑える作用もあります。
活性酸素を除去する作用もあるので、チロシンが酸化して、色素細胞のなかでメラユンをつくるのを防ぐこともできます。
チロシンは人間の体に必要な成分なので減らすことはできませんが、チロシナーゼの働きを抑えることはできるのです。
プラセンタは新しい健康な皮膚をつくる働きがあるので、押し上げられる形で古い角質は捨てられ、ターンーオーバーが活発になります。
メラニンを含んだ角質を肌が捨てることができれば、メラニンが溜まって寄り集まり、黒くなることもありません。
表皮の細胞からこぼれて、ターンーオーバーにのれなかったメラニンはどうでしよう?真皮組織の老廃物は、血液によって排除されます。
血液の流れ、特に末梢血流は、美しい肌にとって実は大切な要素ですが、プラセンタには末梢血流を増す作用があります。
これによって、真皮の老廃物の除去がスムーズになるので、メラニンは取り除かれます。
プラセンタには、暴走してメラニンをつくり続ける色素細胞を、正常な働きに戻す働きもあるのです。
こんなふうにいうと、「何にでも効くなんてそれこそ眉唾」と思われるかもしれません。
でも、すべて本当のことなのです。
なぜなら、プラセンタの本質は、「過剰なものを抑え、足りないものは増やして、正常な働きに戻す」ところにあるからです。
メラニンだけではなく、プラセンタが作用する肌のトラブルのすべて、体の故障のすべてに当てはまることです。
プラセンタそのものが、肌に何かしてくれるというよりは、「肌の力を引き出して、自分できれいになるように能力を高める」というと、分かりやすいでしょうか。
今までの話で、肌のシステムが大変によくできていることは分かったと思います。
本来は、あまりかまわなくても肌は自分できれいになろうとするものなのです。
外側から加えられるものはあまりありません。
ストレスや環境の問題によって肌のバランスが崩れると、このシステムは立ち行かなくなります。
正常な状態に戻すことが、スキンケアの本質だと私は思っています。
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